信じる力は生きる力

それは関わりの土台を成すもの。祈りとやさしい沈黙のような、心のやすらぎ

序幕(プロローグ)
episode5

信じる力を手に

宗教に囲まれて育った僕にとって、神様を信じるということは幼年期に教え込まれたことだった。年齢を重ねるうちに、神様というよりは自然崇拝に近いものに変わってきたけれど、今でも逆らえない大きな力を信じている。でも、信じる相手が人となれば話は変わってくる。もちろん誰もかれも信じるわけにはいかないし、その対象はごく限られた少数の人となる。

信じる力とは、その関わりを心から受け入れられる力だと思う。関わりの中でしか生きていけない僕らにとって信じる力は、生きる力そのものだといってもいい。

幼年期はいとも簡単に人を信じることができた。それが大人になるにつれて、信じることに臆病になっていく。きっとそれは本当のことがわからない怖さ、自分の思い込みを裏切られる怖さへの怯えなのだろう。

子供は遠慮がないから思ったことを言う。オブラートのない子供社会では、その場その場で答えを突き付けられる。少なくても高校時代まではそうだった。でも大人はオブラートに包み、遠回しに言ってみたり、時には社交辞令で思ってもいないことを口にしたりする。

 

きっとそれは、本当のことを言わない方が波風を立てず平穏に暮らしていけるからだろう。すべての大人が本当のことしか口にしなかったら、世界は今以上に争いに満ちているかもしれない。だからこそ、心を開いて通じ合える関係、心から信じられるような関係になることは大人になるほど、むずかしい。

そんな大人同士の関係であっても、極まれに信じられる関係に出会う。そう、大人であってもギリギリの言葉は信じられる。弱音であったり、怒りであったり、感情を剥き出しにした言葉、本音の言葉。苦楽をともにした仲間や家族にはそれを感じる。

信じる力は不思議で、信じると相手の色々なものがみえてくる。それは心の瞳のようなもので、触覚に近い。まるで自分のことのように、繊細に相手を感じる。信じるとは、関わりであり、一人ではないということであり、誰かの体温であり、心のやすらぎだと思う。上手く言えないけれど、信じあう二人には沈黙が許される。それは、やさしい沈黙…、祈りのような。

求めるから失う。それはわかっていても、他者との関わりを断てない僕らは「信じる力」を頼りに今日も生きている。

序幕(プロローグ)

踏み出せなくて 仰ぎみる
千の吐息を見送るレクイエム
裸足のままで歩く
つま先の傷が赤く染まる

ちょっとだけ怯えたまま
息を凝らして 灼熱を飲み込む

みえすぎるとみえない
ツナガル世界はワタシを超えて
鏡の中を彷徨う
叫びのようなdive!届いてる?

sweetieでも sweetieでも
求めるから 失うまま
sweetieでも sweetieでも
不器用さに惹かれるほどに愛おしくなる

愛してるって簡単に言う人が嫌い
剥き出しの言葉だけ 信じてる
虚偽と真実は陽炎を織り成す光
そう、目を閉じ 心の側で 感じて

同じ? 同じじゃない
ひとはみんな別々の価値観で生きてる
だから、信じられるのは ギリギリの言葉だけ

そう、ギリギリの時だけ、ひとは同じものをみる

それは“愛”…? それは“真実”…?
虚偽があるから真実がある 真実があるから虚偽がある
それは陽炎を織り成す光 この世界を織り成す光と影

通りを抜けて 人ごみの中 溢れかえる想いよ
各々の夢 各々の恋 ジェラシーにむせかえす
鏡の中の出口を辿る 大人びてゆく少女は
他人の中に自分と同じ鏡をみつけ、かざす… a story

信じる力を手に
千の吐息を見送るレクイエム
裸のままで 優しい
沈黙のような場所を探す

sweetieでも sweetieでも
求めるから 失うまま
sweetieでも sweetieでも
不器用さに惹かれるほどに愛おしくなる

愛してるって簡単に言う人が嫌い
真実の言葉だけ 探してる
晴れてる日に 晴れない心の荷物(おもに)
そう、目を閉じ 心の瞳で ずっと

信じる力を手に

心から信じることができたら、きっと幸せなはず
信じるもの、信じるひとに、いつか出会いたい

独り、ずっと、このまま独り…

こんなに空は晴れてるのに 私の心は晴れない

序幕(プロローグ)

Music Video「序幕(プロローグ)」

Lyrics/Composed/Arranged/Movie:Chihiro

-- SpecialThanks --

<Vroid キャラクター> 中嶋メチルさん(チェシャ猫男/紙粘土のお面)

<出演> 中嶋メチルさん(オープニング・エンディング/小学5年時)

<Vroid 衣装、パーツ> まがどブース/m@gadoさん(彼女の友達のライダースジャケットとTシャツ)
fukuma/doku_fさん(彼女の友達のブーツ)
ららるーのアトリエ/Lalaluuさん(彼女の友達のエンパイアワンピース)
KoYoMi Works/詞詠さん(彼女のデニムジャケット)
ilona/イチカさん(彼女の友達のチャイナドレス)、なまこん庵/霜月 泉さん(黒服のスーツ)
もちょんさん(ライラ服のbutton)、華音3Rさん(ライラ服のlacework)

<背景画> きこきこさん(林の中・息を凝らす茂み)、乙姫の花笠さん(木と木漏れ日)
すみかどさん(光の差し込む森の廃墟・森の道)、シキセンサイブさん(森の道)
yoseiさん(チェシャ猫男の背景の森・木漏れ日と森の道・チェシャ猫男の背景の森と木漏れ日)
マックKazuさん(廃墟の天井/工場の天井を改変)
歩夢さん(チェシャ猫男の背景の森・学校の廊下・昼の街中・ファミレス・路地裏の夕暮れ・ 朝焼けのビルの屋上/2枚目は空改変・歩道橋/背景改変・朝焼けの街中)
arnoldさん(朝焼けの空)、Lettering&illustration kkさん(つま先の傷)
笹葉さん(夕暮れのチェシャ猫男の背景の森)、ろるさんさん(スマホ)
甘辛さん(水辺のビル群の夜景/改変)、りあきさん(夜の森/改変)、Reelenさん(列車内)
背景専門店みにくるさん(キャバクラ店内)、binegarianさん(森の中の道)
chookcherryさん(アンティークフレーム/手鏡に改編)、risingさん(森の中)

Vocal:Vocaloid MEIKO V3 / Character:Vroid-Studio、3tene
Motion Capture:カーネギーメロン大学モーションキャプチャライブラリ、Jennifer Sumbu Longeさん
StockFootage:Storyblocks